PIPの効果

摺動性の向上

二硫化モリブデン(MoS2)微粒子を高速投射することで、ワーク最表面に被膜を形成すると
同時に表面から深さ5μm前後の組織内への二硫化モリブデン(MoS2)の打ち込みが可能となります。
これらが個体潤滑材としての役割を果たすことで、高い摺動効果を発揮します。【特許第3897238号】

フリクション低減率のグラフ
資料出典①㈱本田技術研究所 萩原秀実様
「内燃機関用ピストンスカート部への固体潤滑剤付与技術とその効果」

耐食性の向上

チタン(Ti)微粒子を高速投射することで加工部分に半導体被膜を形成します。
触媒機能を持つ半導体被膜は高い自浄作用を発揮します。【特許第5588611号/アート金属工業㈱様と共有】

アナターゼ型、ルチル型、ブルカイト型の何れの結晶構造も有しており、加工表面はアモルファス構造が形成されていることで、多様なエネルギーに励起する高効率な触媒となる。

実証実験

酸化チタン被膜(TiO2)が「酸化」と「還元」を繰り返すことで塩水噴霧試験においても高い耐食効果を発揮する。

未処理
PIP-Ti
試験材料 SUS304溶接材(TIG溶接)
試験方法 JIS H8502 7.3キャス試験
試験時間 48時間
試験場所 愛知産業技術研究所

射出成形におけるスクリューへの効果

黒点発生時間のグラフ

使用から黒点発生まで約3倍の時間延長。
高い自浄作用により、防汚性も向上します。

離型性の向上

WPC処理により微細な凹凸を形成した後、PIP処理によって凸部表面をわずかに潰し込むことで
引っ掛かりの少ない面へと変化させ、樹脂成形時の離型抵抗を低減することが可能となります。【特許第6649991号】

WPC処理 微細な凹凸が形成
WPC+PIP-Ti処理 粒子径をコントロールし、凸部を潰し込む事で引っかかりを低減

名古屋市工業技術グランプリより令和2年度の「名古屋市工業研究所長賞」
愛知県発明協会より令和3年度の「愛知発明賞」をW受賞

耐熱性の向上

錫(Sn)微粒子を高速投射することで加工部分に酸化錫被膜(SnO2)が形成されます。
錫(Sn)の酸化物になることで性質が大きく変化する性質を利用し、より高い強度や耐熱性が要求される製品に採用されております。

Sn SnO2
硬度 Hv5 Hv1,060
溶湯材 231℃ 1,630℃

真鍮ダイカストピン

材質 SKD61
溶湯材 真鍮
溶湯温度 1,000℃
ショット数 300ショット

ヒートサイクル試験

試験片 SKD61(45HRC)
試験方法 加熱ブロックに試験片を押し当て、570℃まで加熱。その後、水冷し15秒保持(100℃まで冷却)
試験条件 5,000サイクル

5,000サイクル後の断面ヒートクラック

焼付き性の向上

モリブデン(Mo)微粒子を高速投射することでワーク最表面に被膜を形成します。
ワークが摺接時に発生する熱により、潤滑油や相手方部材に含まれている硫黄分や酸素と反応し、二硫化モリブデン(MoS2)や三流化モリブデン(MoS3)から成る個体潤滑被膜を形成することで、高速摺動領域における焼き付きを防止します。【特許第7337416号】

品名 クランクシャフト
材質 SCM440
相手材 青銅
目標数値 3,000SPM